| あ |
| イヨ…………トキの国の夷守(ひなもり)スオウの次女。利発で知識欲旺盛な11歳の少女である。ヤマト大国第3代女王ナミの姪に当たり、次の代の女王に指名されているが、本人はまだそのことを知らない。キムカの襲来で家族を失い、ただひとり森の中に取り残されるが、ミヤと出逢って命拾いし、以後行動を共にする。 |
| エウカ…………トキの国の夷守(ひなもり)スオウの長男で、イヨの長兄。父の片腕としてトキの国の行政に関わっている。19歳。キムカの襲来に際し、父スオウと共に戦うが、討ち死にする。 |
| か |
| カヨ…………トキの国の夷守(ひなもり)スオウの長女で、イヨの姉。16歳。キムカの襲来で命を落とす。 |
| キムカ…………海の向こう、カラの国から来たと称する男。優しげな風貌の下におそるべき野心を秘め、トキの国守(くにつかみ)プナコに接近して、夷守(ひなもり)スオウを讒言し、プナコの了解のもとに攻め滅ぼす。イヨの生命を狙う。 |
| クルビコ…………ヤマト大国の軍事を統括する将軍(いこま)。数年前、宰相(みまし)タケルと図って、敵国クマへ兵を出したが、事実上の惨敗を喫してしまった。しかし、女王(ひみこ)ナミは、タケルと共に、クルビコをもとがめなかった。 |
| さ |
| 司馬懿(しば・い)…………178−251。あざなの「仲達(ちゅうたつ)」の方が有名。三国志の武将のひとり。曹操に仕え、さらにその子曹丕が魏王朝を開くと、3代の皇帝に仕えて魏国の大黒柱となった。 蜀の諸葛亮(孔明)との対決が名高い。史実では2回対決し、第1回目の祁山(きざん)の戦いでは撃退したものの、深追いして手痛い反撃を被った。第2回目の五丈原での戦いでは、諸葛亮の病没により勝負無し。撤退する蜀軍を追撃しなかったので、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」と後世まで囃されることになった。どうも手柄を立てすぎて警戒されるのを怖れたようだ。 このような韜晦や策略の多い男なので、腹黒い奴と思われ、帝位を簒奪しようとしていたと解されている。 しかし、その生涯をよく見ると、むしろ小心翼々と自己防衛に努めながら、魏王朝のために身を捧げていたように私には思われる。この小説での描写は、おそらく従来と違ったイメージがあるのではないだろうか。 |
| 司馬師(しば・し)…………207−255。司馬懿の長男。あざなは子元。早くから父に従って戦場に出ており、軍事的才能はなかなかのものだったと思われる。政敵・曹爽の一党を排除するクーデターでも主導的役割を果たした。しかし、魏王朝に対する忠誠心は薄く、父の死後、皇帝曹芳を皇位から追う。皇帝廃立に抗議の兵を挙げた文欽との戦いの最中に48歳で病死。容貌魁偉で、左目の下に大きな黒あざがあってトレードマークになっていたが、晩年はそのあざがしきりに痛んだというから、皮膚癌だったのかもしれない。 |
| 司馬昭(しば・しょう)…………210−265。司馬懿の次男。あざなは子上。戦場での活躍より、宮廷工作や政敵の排除にたけていたようである。兄の司馬師が嫡子のないまま病死したので、司馬氏の当主となる。司馬懿が本当に簒奪をもくろんでいたかはわからないが、司馬昭は完全に考えていたと思われる。魏国4代皇帝曹髦(そうぼう)を弑殺し、5代目の曹奐(そうかん)を傀儡とし、蜀を滅ぼしたのを契機に禅譲を迫るつもりだったが、もう少しというところで惜しくも病死した。その後長男の司馬炎が予定通りに曹奐から皇位を譲られ、晋王朝を建国する。 |
| シマコ…………ヤマト大国の重臣で、太師(おもいかね)の職にある。政務一般に関する助言役といったところ。 |
| スオウ…………トキの国の夷守(ひなもり)。ヤマト大国の女王ナミの異母妹を妻としている。長男エウカ、長女カヨ、次男ワカ、次女イヨの4人の子供がおり、そのうち末娘のイヨがナミの次の代の女王に指名されている。有能で誠実な夷守だったが、国守プナコに接近したキムカに攻め滅ぼされてしまう。 |
| た |
| タケル…………ヤマト大国の女王ナミの実弟で、宰相(みまし)の職にある。行政上の実務の権限はほとんど掌握している。数年前、敵国クマとの無謀な戦争を主導して、事実上惨敗の憂き目を見、評判を下げてしまった。それについて責任を問わなかった女王の態度に疑心暗鬼にかられ、女王を毒殺したのち、自ら王(みこ)の位に就く。 |
| タマネ…………ヤマト大国の廷臣の最長老で、内務卿(なかて)の職にある。初代の女王から第3代のナミまでずっと仕え続けている。国内の安定のため、タケルの王位就任に賛成するが、女王に近すぎたため宮室から遠ざけられてしまう。 |
| 張政(ちょう・せい)…………生没年不詳。魏国の帯方郡から倭に遣わされた使者。魏志倭人伝には彼のことを塞曹掾史(さいそうえんし)と記しているが、郡の属官であるというだけで、具体的な職務はよくわからない。247年、邪馬台国と狗奴国との戦端が開かれた時、魏皇帝の詔書及び黄幢旗(こうどうき)を持って督戦に訪れたという。 |
| ツナビコ…………トキの国の国守(くにつかみ)プナコの息子。大言壮語癖のある壮士型の男である。キムカを親友と思い、その言葉に従って、国守の権威を高めたいと熱望している。 |
| テコナ…………スオウに仕える腹心の老僕。スオウの娘イヨの女王就任の下工作をすべく、ヤマト大国に向かった。 |
| な |
| ナミ…………ヤマト大国第3代の女王(ひみこ)。三十数ヶ国からなる連合王国の頂点に位置する偉大な女王である。すでに30年以上女王の座にあるが、実務は実弟の宰相(みまし)タケルにほとんど任せていた。自らの死を、側近の強女(おずめ)ミクナに予言し、次の代の女王を擁立することを命じたのち、毒殺される。 |
| ナワテ…………村々を襲って財物や女を奪うのを業とする盗賊だったが、強女(おずめ)ミクナに敗れたのち意気に感じて、その従者となる。 |
| は |
| パル…………ヤマト大国の廷臣のひとり。宮室警護を司る力士(たじからお)の職にある。武芸にすぐれ、朴訥な性格。ミクナに協力し、次の代の女王擁立を図る。 |
| ピナ…………イヨの子守役だった婢(はしため)。イヨに絶対的な忠誠心と崇敬を抱いていたが、森の中を彷徨するうち蝮(まむし)に咬まれ、絶命する。 |
| プナコ…………トキの国の国守(くにつかみ)。温厚な老人で、夷守(ひなもり)のスオウとも良好な関係を築いていたが、息子ツナビコに勧められて会ったキムカの妖言によりスオウを疑い、誅殺してしまう。 |
| ま |
| ミクナ…………ヤマト大国の女王ナミに仕えた強女(おずめ――女王の身辺を警護する女性武官)。聡明で武芸にすぐれ、特に「不思議な術」を使って巨漢をも倒すと噂される。女王の第一の側近として寵愛されていた。女王の死後、その遺命により、王位に就いたタケルに抗して次の代の女王を擁立するべく探索行を開始。 |
| ミヤ…………天涯孤独の少女。かつて山人の部落で育った。森の中で行き倒れたイヨと出逢い、親友となって、その後行動を共にする。 |
| や |
| ら |
| わ |
| ワカ…………トキの国の夷守(ひなもり)スオウの次男で、イヨの兄。頭は良いが、やや性急な15歳の少年。森の中でイヨとはぐれてしまい、行方不明。 |