忘れ得ぬことども

特撮ヒーロー番組の郷愁

 最近「お客様の声」で、なぜか昔の特撮ヒーロー番組の話題が盛り上がっていました。
 こういう話になると、皆さん乗ってくるんですよね〜。いつも比較的硬めの話題を書き込んで下さることの多い岡村さんや炎のコンティヌオさんが楽しげに参加しておられたのが微笑ましかったです。実は岡村さんは「セー×ーム×ン」のファンでもあったこともすでに判明しており、意外と柔らかいお人柄のようで……(^_^;;

 現在30代くらいの世代というのは、たいてい子供の頃特撮ヒーロー番組を見て育っております。20代になるとアニメの方が多いでしょうが、われわれは実写の特撮の印象が強いです。
 巨大ヒーローとしてウルトラマンシリーズ、等身大ヒーローとして仮面ライダーシリーズのふたつの柱があり、それぞれに亜流というべき番組がたくさん作られました。いま考えると、現在のアニメ番組と同じくやや粗製濫造に近いものがあり、しょうもない番組も多かったようではありますが、しょうもなければしょうもないなりに、いまだにファンがついていて、それが出逢うとマニアックな会話が繰り広げられることになります。むしろ、しょうもないヒーローをどれだけ憶えているかを競うみたいなところがあります。
 かく言う私も、うちでは親が滅多にそういう番組を見せてくれていなかったにもかかわらず、どこをどうやってか結構見ていました。親が外出しているうちに夕方の再放送を見るとか、友達の家へ行って見るとか。それから当時の子供雑誌では(今でも同じでしょうが)よくその手の番組の特集を組んでくれたので、そういうのを読んで知識を増やしたものと思われます。

 ウルトラマンシリーズだけはなぜか親公認で見せて貰っていました。今なお熱狂的ファンの多い初期3作(「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」)はさすがにリアルタイムでは知らないのですが(私の2〜4歳にかけての番組です)、第2シリーズの「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」「ウルトラマンタロウ」はほとんど全部見ました。
 そのあとの「ウルトラマンレオ」になると、なんだかあまり面白くない気がして、見るのをやめてしまいました。
 第3シリーズ「ザ・ウルトラマン」(これだけなぜかアニメ。「ジ・ウルトラマン」の間違いではないかと当初からつっこまれていた)「ウルトラマン80」(当時の「3年B組金八先生」のヒットにあやかり、ウルトラマンと学園ドラマをミックスしようとして見事玉砕したトホホな番組)になると、もう中学生から高校生になっていたこともあり、便乗的な作風がイヤだったので見ておりません。
 最近の新シリーズ「ウルトラマンティガ」「ウルトラマンダイナ」「ウルトラマンガイア」はしっかり録画して見ています。初期ウルトラマンに夢中になって育った世代の人たちが中心になって、初心に戻って作っているだけに、造りもきちっとしていますし、必要以上に子供に媚びていないのが好感が持てます。
 ともあれウルトラマンシリーズは、すでに親子で充分話が通じる話題となっており、もはや国民的財産になっていると見てよいでしょう。

 仮面ライダーは親に公認されていなかったので、私の知識にはだいぶ穴があります。特に初期のハードな造りのあたりはよく知りません。私が親しんだのは「仮面ライダーV3」からでした。
 ウルトラマンと違って、敵が組織になっているのが面白かったですね。正体不明の首領、卓越した能力を持つ大幹部、その下にゲストキャラとして毎回倒される怪人がおり、さらに下っ端の戦闘員と、整然たるヒエラルキーになっていることに感心しました。実はこれは仮面ライダーの制作元である東映のお家芸であった時代劇のデフォルト設定から来ているのだという考察を、何かの本で読んだことがあります。
 幼少のみぎりの私は、テレビ番組に影響されて、自分でヒーローを作ってマンガに描いたりしていましたが(同じようなことをした男の子は多いはず。さあ、白状しなさい(^_^;;)、その場合でも敵の組織はショッカータイプを踏襲することが多かったです。
 しかし長じてから再放送を見ると、仮面ライダーシリーズはドラマ作りという点では単純ですね。敵の組織が陰謀(たいてい幼稚きわまりますが)を企て、あわやというところに、あまり必然性もなくライダーが現れて怪人を倒す、という繰り返しでした。
 近年になって、やはり往年のライダーシリーズで育った人たちが「仮面ライダーBlack」というのを作りましたが、あまりに雰囲気が重かったせいかいまひとつ人気が出ずに終わりました。またすでに宇宙刑事シリーズとか戦隊ものとかが親しまれている時代でしたから、ライダーキック一発で敵が爆発するというあたりに、子供たちは嘘っぽさを感じたのではないかと思います。リメイクするなら、いっそのこと大人(少なくとも中学生以上)をターゲットに作ればよかったのです。

 巨大ヒーローものの亜流としては、「ミラーマン」「アイアンキング」などがありました。ミニチュアセットを作るのが大変なせいか、巨大ヒーローは数としては少なかったようです。
 等身大ヒーローは枚挙にいとまがありません。「お客様の声」でも名前の出たバロム1レインボーマン人造人間キカイダーイナズマンロボット刑事Kダイヤモンドアイコンドールマン、等々、私の記憶の中にあるのをざっと並べるだけでも次々と出てきます。もっとたくさんあったはずです。
 「シルバー仮面」「サンダーマスク」のように、等身大で戦ったり巨大化したりするのもありましたし、変わり種としては人間が巨大ロボットに乗って動かすという、その後のアニメでは普通になった設定の「ジャンボーグA」というのもありました。
 それぞれに、他の番組と差別化を設けようとしていたようです。敵の名前をタイトルにしてしまった「宇宙猿人ゴリ」などはその最右翼でしょうか(もっとも途中から「スペクトルマン」と、普通にヒーローの名前のタイトルに変えてしまいましたが)(^_^;;

 結局、特撮番組がやたらたくさん作られることによって、ひとつの番組に対する予算・技術・発想が揃って貧弱化し、次第に子供番組の主力の座をアニメに奪われてゆくことになったのは残念な話でした。現在のアニメにも多少その傾向が見られぬでもないので、関係者の自制と奮起を期待したいものです。
 ちなみに、今なお生き残っているパターンのひとつに戦隊ものがありますが、あまりにもワンパターンなのでさしもの私もほとんどチェックしておりません。あの、敵怪人が意味もなく巨大化し、意味もなく巨大ロボに乗り込んで戦うのだけはやめて貰いたいです(……って見てるじゃないか(^_^;;)。

(1999.6.30.)

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