忘れ得ぬことども

宵っ張りな子供たち

 常連のお客様あーちゃさんのところの掲示板で、ちょっと子供の就寝時刻の話が出ました。あーちゃさんが、2歳のお子さんであるケーゴくんを寝かせてからまたネットに戻るというような書き込みをしていたのに戻ってこなかったので、結局寝かしつけられなかったのかな、と思って、その旨私が書き込んだのです。そのあーちゃさんの書き込みは21時過ぎだったので、更めて、最近の子供は宵っ張りになったものだと考えました。

 私が子供の頃のことを思い出してみると、夜7時のNHKニュースが始まると、布団に追いやられた記憶があります。少なくとも学校に上がるまではそんなものでした。
 小学校に上がる時、これからは8時まで起きていられるのだと嬉しかった憶えがあります。
 小学3年生の大晦日、はじめて除夜の鐘を聴くまで起きていて、それが自分にとっては大事業だったように思えて、年明けの作文にそのことを書きました。午前零時近くまで起きているなどというのは、そういう特別な場合だけだったのです。

 その後のことはよく憶えていないのですが、小学校6年の時、ラジオの「夜はともだち」という番組がクラスで人気があり、ことにその中の、午後9時からのコーナー「夜のミステリー」が評判でした。私はそれを、確かに寝床で聴いていた記憶があります。つまり21時には寝床に入っていたのです。一応中学受験を控えていたはずなのですが……(^_^;;
 中学、高校と、そんなに夜更かしをした記憶がありません。大体22時くらいには寝ていたと思います。
はっきり言って、午前零時を過ぎるまで起きているようになったのは、大学に入ってからでしょう。
 今は仕事などのため、日常生活のサイクルがまっとうな勤め人よりは2時間ほど遅くなっていて、就寝時刻も午前1時過ぎくらいなのが普通ですが、学校に行っているうちはそんなことはまずありませんでした。

 今の子供たちは、ばかに夜更かしだと思います。
 小学校低学年くらいの子が、平気で22時、23時まで起きていたりするようです。
 世間一般が宵っ張りなサイクルになってきたのは確かですが、親が、断固として子供を寝かしつける、ということが少なくなってきたのではないでしょうか。
 昔のことばかり言うと齢を感じてしまいますが、以前はもっと、「大人の時間」というものが大切にされていたような気がします。子供はさっさと寝ろ、そのあとは大人の時間だ、というけじめがしっかりついていました。
 それがなんだかだらだらと、子供を参加させたまま夜が更けてゆく、みたいな形態が増えてきたような気がします。友達みたいな親で居たい、などと望んで、子供に対して毅然とできなくなってきたのだとすれば問題です。

 就寝時刻が遅くなっているのに、朝の学校の始業時刻は、この四半世紀ちっとも変わっていません。依然として、8時半です。ということは、子供の睡眠時間そのものが、大幅に減少していると思われるのです。
 寝が足りないと、翌日ぼんやりして集中力に欠けることは、大人もよくわかっているはずです。集中力がなくなれば、私語も多くなり、先生の言うことも聞けなくなり、いらいらしがちで、すぐ切れてしまうのも理の当然ではありませんか。
 遅刻が多くなるのも当たり前のことです。あろうことか、低血圧のせいだと弁解する子供が多いそうですが、低血圧と寝坊はなんの関係もありません。要するに寝が足りないのです。
 寝る子は育つ、とはよく言ったもので、睡眠を充分とらない子供は、肉体的にも精神的にも、著しく虚弱になることは容易に想像できます。子供は叱りつけてでも寝かせなければいけないと思います。10歳くらいまでは、一日9〜10時間は睡眠をとらないと、うまく育たないのではないでしょうか。
 まだ子供を持たない私がこんなことを述べ立ててもあまり説得力がないかもしれませんが、このまま宵っ張りの子供たちが増えることに、将来の日本人はどうなるんだろうと、どうも心許なさを覚えるのです。

(1999.1.11.)

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