忘れ得ぬことども

水道管工事

 住んでいるマンションの水道管工事がありました。
 私が入居してからすでに11年が経過していますが、入居した時すでに築7,8年は経っていましたので、そろそろ20年目になろうかという中古マンションです。そのため、水道管が相当傷んでいたようです。
 内視鏡写真を見せて貰いましたが、赤さびが重なって、なんだか不気味な褐藻類のようにゆらゆらとたなびいていたりしていました。それらが水で流されて、管の曲がっているあたりなどに堆積し、水の流れを阻害したりもしていたようです。ああいう写真を見ると、生水など飲む気がしなくなりますね。
 私のところは一昨年浄水器をつけてありましたが、月に一回ほど、浄水器に水を逆流させて中の活性炭などをクリーニングしてみると、茶色く濁った水が噴き出してきます。初めて見た時は唖然としました。
 今回の工事は、高圧水流でさびを落としたのち、管の内部を特殊な樹脂でコーティングするという作業でした。これで当分はもつらしい。
 工事には、一室ごとに3日かかり、その間一切の蛇口が使えません。トイレも浴室も水が出ない状態になります。仮設水栓といって、別にホースでひっぱってきた蛇口を貸して貰えますが、一室ひとつだけです。トイレは、浴槽に貯めておいた水をバケツに汲んで流すことにしました。
 水が使えないのは仕方がありませんが、作業中玄関が開けっ放しになるので、外出できないのが困りました。1日目2日目は幸い、作業中に出かける用事はありませんでしたが、3日目はどうしても朝から出かけねばならず、やむなく母に来て貰って留守番を頼みました。こんな時奥さんがいればなんの問題もないのだがと思いましたが、まあそれはそれとして。(^_^;;
 厄介でしたが、やはり水は大切ですから、仕方のないことです。
 集合住宅の水の問題は、もともと深刻なものがあります。
 一旦貯水槽に貯めた水を使うわけですが、この貯水槽が結構非衛生的である場合が多いそうで。
 蓋を開けてみたら、内壁がカビだらけだったなどというのはまだいい方で、ゴキブリやネズミの屍体が浮いていたとか、
 もっと薄気味の悪い話もあります。確か中野区あたりであった事件だったのではないかと記憶していますが、マンションの水道の蛇口から、なんだか黒い筋のようなものが流れ出してきた。よく見ると、女性の髪の毛だったというのです。住民の通報により貯水槽を調べてみると、若い女性が殺害されて放り込まれていたというお話。こうなると、下手なサスペンス映画よりおっかない。
 それでも、わが国は水に関してはうるさい方のようです。中国の武漢で泊まったホテルでは、かなりいいホテルだったにもかかわらず、風呂に入ろうとお湯を張ったら、浴槽の底が全然見えない泥水でした。中国と比較するのは無理にしても、水道の生水を飲める国というのは、世界でもごくごく限られているのが実際のところです。
 水については、私たちはもっと真剣に考えるべきかもしれません。

(1998.3.27.)

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